箱根をどり Ⅰ

小田急ロマンスカーにて

6月11日土曜日、「第18回箱根をどり」の開催日である。

箱根湯本見番の案内によれば、開演は10時半、12時半、14時半の3部制。電話を入れた日にはすでに10時半の席しか残っておらず、盛況ぶりがうかがわれた。

コロナ禍においては、観光地に人気はなく、ましてや芸者衆は困窮の極みにあったろう。辞めた方も多かったと聞く。

3年ぶりに開催される「箱根をどり」は主催者も客も待ちに待った舞台なのである。

「10時半か、早いな。午後の部にキャンセルは出ていないかな、電話をしてみ!」と連れ。開催日まで2度ほど電話をするが、3部とも満席のようであった。

早朝、連れの好物を作り、鎌倉彫の二段重箱に詰める。
菜は出汁巻玉子、三つ葉と油揚の三杯酢和え、烏賊入薩摩揚、蛸ピーマン。そして鶏肉と椎茸、油揚に三つ葉の炊込みご飯、冬瓜の味噌汁。

新宿8時20分発のはこね23号に乗りこむ。この時間の乗車客はまばらで、こちらは悠々と弁当を開くことができた。

「芸者衆の踊りを見るにはお酒を飲んでおかないと…そういうもんだろ?」と、連れは早々にスパークリングワインのコルクを抜いて、グラスに注いだ。

先日「ふらっと芸者」で拝見した真瑠お姐さんや茶々お姐さん、裕美子お姐さんも出演する舞台となれば話も弾む。

そして我々の常宿で受付のアルバイトをしている芸妓の梨ん(りん)さんも出演するという。真瑠お姐さんと茶々お姐さんは踊りの名手で、梨んさんには憧れの存在らしい。

さて、ビール、日本酒と飲み継いで、連れの思惑通り、ほろ酔い気分で箱根に到着。
箱根湯本見番へと向かった。