フジタとフレンチ・レストラン

izaatsuyoshi2008-10-05

茨城県笠間市笠間日動美術館で「フジタとモンパルナスの仲間たち」(〜11/30)が開催中である。本日(10/4)は午後2時より、昭和美術史に詳しい美術評論家瀧悌三氏をはさんで、美術館館長、副館長との鼎談会があるとのこと。藤田嗣治をめぐる美術界についてなど興味深い話が聞けそうだ。

上野駅で4枚綴りのフレッシュひたちの回数券を購入し、午前10時半発のフレッシュに乗り込む。車窓から利根川筑波山を眺めつつ、1時間10分ほどで友部駅に到着。北口から笠間周遊バスに乗り、日動美術館で降車する。

まずはランチと、常設館前(企画館の裏手)のフレンチ・レストラン「ポーム・ド・パン」までぶらぶらと歩く。それにしてもいい天気だ。美術館に面しているとはいえ、町の賑わいからはずれた場所に本格フレンチの店があるのもいいものである。アルザスの田舎風の造りといえばよいのだろうか、数分ほどでレストランの建物が見えた。

店内に入ると壁の谷川泰宏の女性像が目に付く。アール・デコ風の作品がアンティークの店内の雰囲気とよく似合っていた。さて、ランチのコースを注文する。前菜は、一皿に美しく盛られた椎茸のパイ包み、ホタテ貝柱のマリネー仕立て、そしてパテ。白ワインに良くあい、非常に美味しかった。メインは、連れが牛頬肉の煮込みを、当方がスズキのソテーを選択。牛頬肉はとろけるように柔らかくソースも抜群、スズキもなかなかであった。前菜、メインとも本格的なフレンチでありながらさっぱりとして、このところ和食一辺倒の我々にも馴染める味である。デザートも3種つき、女性客は大いに満足することだろう。コーヒーはエスプレッソで、デザートの甘さと対照的なほろ苦さがたまらなくいい。若い日にフランスで修行をしたというこの店の主人は料理の研究に余念のない気骨のある人間と鑑た。ランチは3,150円だが、十分満足できるものであった。

食後にゆっくりと展覧会を観る。画集でモノクロでしか見た事のない藤田嗣治の作品があった。今回初めて展覧会に出品された秘蔵コレクションということになるのだろう。大作ではないが「人魚」はミステリアスで印象に残った。長椅子に脚を伸ばして座る婦人像「Y夫人の肖像」「室内、妻と私」など観るものをうならせる作品。

藤田と画家仲間の首が並ぶ「藤田と涛友会」は早描きの藤田の手腕を感じさせるものだ。一気に描き上げたものだろうが、野間仁根や猪熊弦一郎らの特徴をよくとらえている。

日本の風俗を描いたコクトー原作の挿絵も興味深く、また別室ではエコール・ド・パリの画家たちの饗宴が繰り広げられていた。鼎談会では藤田と画家たちとの交友や日動画廊創立者長谷川仁との関わりなどを聞く。

丘陵地にあるこの美術館の庭園には竹林がありもみじも多いようだ。11月半ばから紅葉も見ごろとなり、3階のカフェからの眺めは竹林を背景に見事とのことである。なお「フジタとモンパルナスの仲間たち」はここだけの開催で巡回はしないそうだ。興味のある方は、是非行ってみられるがいい。東京からはお勧めの日帰り旅である。次に本日の経費を記した。参考となれば幸いである。

往復交通費 ¥5,380(下記内訳)

  • 都内から乗車券往復 ¥1,890x2
  • フレッシュひたち回数券往復¥700x2(4枚綴りで¥2,800の回数券は2名で利用すると良い。特急券片道¥1,300→¥700)
  • 笠間周遊バス往復 ¥100x2

その他

  • 笠間日動美術館観覧券 1,000円                     
  • ポーム・ド・パン ランチ 3,150円+ドリンク代

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