花の女 フランソワーズ・ジロー マティス、ピカソとともに

izaatsuyoshi2010-05-26


日曜美術館ピカソを捨てた花の女 かっての恋人が語る巨匠の姿」(23日放送)を見る。

画家フランソワーズ・ジローはナチス占領下のパリでピカソと出会い恋人となった女性だ。ピカソとの関係は10年におよび、二人の子どもをもうけている。娘はジュエリー・デザイナーのパロマピカソ

現在88歳、テレビの中の彼女は瑞々しく、その目は未来に希望をたくす若い娘のように輝いている。ピカソと別れて以降、二人の男性と結婚し、その人生も波乱にとんだものであったろうに、彼女に苦労の足跡は見られない。

ある日のこと、電話をかけてきたピカソは「君に10年分の命をあげよう」と語ったそうだが、そのピカソも91歳まで生きた人物である。後世に名を残す画家の多くは夭折するか、長寿であるかだが、とにかくエネルギッシュな人種であることには相違ない。

昨日から、フランソワーズの著書『マティスピカソ 芸術家の友情』を読みはじめた。野中邦子の訳も秀逸だが、小気味いい文体、明確な表現に彼女の才媛ぶりがうかがい知れる。

現在、茨城県笠間日動美術館で彼女の回顧展が開催されている。作品はエネルギーに満ち、見るものを圧倒する。一番奥の壁に「生命の木」という1点の作品がかけられていた。絵そのものに血潮がみなぎり脈うつようであった。

日本でのフランソワーズの評価は、女性遍歴を重ねたピカソ史の1ページを飾る女性という地位にととどまるのみで、作品を観る機会はほとんどなかった。しかし、画面には彼女の人生と希望がみちて見ごたえがあった。フローティング・ペインティング(タペストリーのような大作)の微かな揺れによる錯覚なのだろうか、会場には確かに生命が息づいているように見えた。

笠間日動美術館で開催中の「花の女 フランソワーズ・ジロー ピカソマティスとともに」は6月3日まで。是非、おすすめしたい展覧会である。