湯通しをした小振りの赤烏賊、その甘く柔らかい身に、少量の山葵を乗せて食す。
桃山期の絵唐津に盛り付けてみた。往時、美濃の織部や志野、黄瀬戸、そして遠く唐津でも、画期的な意匠の懐石の器が盛んに作られている。特に絵唐津は人気を博した。
この器からは、往時の陶房の熱気や、一気に絵付けを施す陶工の息遣いまでもが伝わってくる。茶懐石では、寄せ向うのひとつに使うつもりである。食材の味も、一段と増すというものだ。
本日は、甘鯛を主役に、夏の野菜を加熱することなく生かした。ひんやりとした野菜の美味さが、我々に猛暑を乗り切る力を与えてくれる。
献立
- 向う 赤烏賊
- 焼物 甘鯛
- 強肴 胡瓜と若布の三杯酢合え、冷トマトなど
- 吸物 オクラと茗荷の冷汁、吸口に梅干を刻む