2008-01-01から1年間の記事一覧

堅手徳利

小振りの堅手徳利。高台周りの貫入がいいんだよ、わかるかなあ、と徳利の腰を撫でながら、熱く語る酒呑み一人。ハイハイ、左様で、ごもっとも、いいもんですなあ、それではワタクシメはお相伴…酒を注げば、トクトクと小気味の良い音がする。傍らに、幾つかの…

古染付漢詩文皿「トリ貝」

古陶磁に肴を盛り、杯を傾けながら、じっくりと旬の食材を味わう。週末恒例の楽しみである。今週末は何を食そうかと、週の半ば、早くも丸赤の店頭に侍る。木曜には美しい甘鯛が横たわり買い物客を魅了していたが、残念ながら、本日(6/20)の仕入れはなかっ…

マリオ・プラーツ

古書店にて求む。 マリオ・プラーツ著 『肉体と死と悪魔 ロマンティック・アゴニー』1986年 イ・ミョンオク著 『ファム・ファタル 妖婦伝』2008年 山本七平著 『聖書の旅』1991年

かぎもとや

目的のない日帰り旅に出る。長野新幹線の佐久平で小海線に乗りかえ、中込で降車。1時間ほど、伴野城跡界隈を散策した。昼過ぎに軽井沢へ向かう。星野温泉でゆっくりと湯につかる。鬱蒼と茂る木々に囲まれた大きな露天風呂に、日頃の疲れが溶けていくようで…

都市計画

茨城県近代美術館に赴く。上野から特急に乗車、1時間余りで水戸駅に到着する。美術館へは川辺を心地よく歩いて15分ほどである。館の前には千波湖が広がり、周辺には草木が茂る。前日の雨で緑がしたたるようであった。水戸市は、前知事からの構想のもと、…

明日に期す

地方に赴くため、6時過ぎに家を出る。早朝であっても、新宿では多くの客が乗降する。優先席が空くが、30代であろう男性が当然ごとく座り、新聞を広げた。この時間も、高齢者がいないわけではない。瞬時に声が出、優先席であることを男性に告げる。近くに…

MODERNE DEUTSCHE PLAKATE

愛知県豊田市、豊田市美術館に赴く。「MODERNE DEUTSCHE PLAKATE 1890-1933 ドイツ・ポスター」(6月1日まで/宇都宮美術館へ巡回)が開催中であった。シュットゥックをはじめ、この時代のドイツ系の画家の作品には、久しくご無沙汰である。懐かしく観た。天…

ときの忘却

久しぶりにのんびりと商店街を歩く。近年、この商店街は随分と面変わりを遂げ、古着の店やエスニック・ショップが増えた。客も学生層に移行しているようである。若者向け、手作り風の和カフェもオープンした。盛況のようだ。ゆったりとした胡弓の音が流れる…

五十音の縁

新緑に輝く5月、連休明けの楽しみは、遠方の友人Kに誕生日祝いを選ぶことだ。勘が冴え、喜んでもらえるだろう一品が、すぐに決まることもあれば、あれこれと迷うときもある。今年は後者の方であったが、昨日メールがあり、どうやら気に入ってもらえたようで…

本日も晴天なり

5月4日8時、下山開始、本日も晴天なり。いつもながら山上離れ難く、途中、湯を沸かしコーヒーで小休止をとり、眺望を楽しむ。信濃大町で一泊する。夕飯は吉兆を予約した。山のもうひとつの楽しみは、下山してからゆっくりと温泉につかり、うまいものを食べ、…

本日晴天

5月3日、6時30分新宿発特急あずさの先頭車両にて、白馬へと向かう。車両間のドアの開閉を手動で行う旧型車両で、近く廃車にでもなるのか、鉄道マニアが停車駅ごとにホームに降り立ち撮影をしていた。白馬駅からタクシーに乗車、程なく八方尾根のゴンドラ乗場…

阿吽 李朝白磁鉢「鮎」

ゴールデンウィークを目前に、あれやこれやとその過ごし方を計画する、今が一番楽しい時期であろうか。連休後半に山行の予定である。本日(27日)は打ち合わせを兼ね、昼食会の運びとなった。さて、いそいそと丸赤に買物に出かけた。早や店頭には鮎が並んで…

魯山人「黄瀬戸角向」

駅構内を矢のように走る男を見た。階上のホームにはすでに電車が到着しており、急な階段を駆け上らなければならないのだった。黄瀬戸角向付。自由闊達で剛直、潔癖な一姿である。黄瀬戸釉の濃淡に変化があり、見込、裾回りには黄瀬戸独特の海鼠釉の窯変が見…

至福の一食

本日の雑炊は、人参、椎茸、大根を具に出汁で炊きあげ、吸口には葱の小口を散らした。香物に、塩で軽くもんだ胡瓜を副える。白肌にコバルトの染付けも鮮やかな李朝後期の小皿に盛りつけてみた。酒席のあとの一汁一菜が肝要。雑炊は飯、汁が一椀に盛り込まれ…

春宵

窯内の火回りにより、赤くまた紫黒く焼成された備前徳利は、桃山素焼きの伝統を十分に堪能出来る。花入れにも転用されるほどの大きさで、茶懐石の預け徳利に最適と言えよう。口辺に幾重にも刻まれた筋目は、ウィスキーの瓶の口を思わせるが、南蛮の影響か…。…

桜素浪人

今春も定石にしたがい、近隣の桜見物にぶらぶらと出かける。道沿いの桜、曇り空に映えて美しい。春靄にけぶるの感なり。馬橋稲荷神社にさしかかる。境内の桜、まさに満開である。昇龍降龍が纏いつく石造りの鳥居の下、花見に悦にいる1匹の老猫に遭遇ス…。生…

パガニーニ

「クールシュヴェール国際音楽アカデミーinかさま」の関連コンサートのひとつ、エルジャン・クリバエフのヴァイオリンコンサートが、茨城県笠間市の笠間日動美術館で開催された。 22歳の新鋭クリバエフ(カザフスタン出身)は、6歳でヴァイオリンを始め、12…

三島鉢「炊き合わせ」

茶懐石の強肴は、向付、煮物碗、焼物のメイン料理のあとに持ち出される。石盃が供され、器、料理の話に花が咲き、座も和んでいる頃合である。本日は、三島鉢に、貝柱、椎茸、芹を盛り合わせた。貝柱、椎茸は醤油、酒、出汁の合わせだれを付けながら焼き、芹…

湯木美術館 眼福の極みなり

湯木美術館「茶碗を愉しむ」、藤田美術館「茶〜茶人と道具〜」展鑑賞のため、大阪まで足を運ぶ。井戸六碗を見る。湯木では、大井戸「対馬」を中心に、青井戸「春日野」、井戸脇「長崎」がその左右に展示され、傑出した三碗の個性が光った。藤田では、肌の美…

菜の花や

先週末(3/14.15)のこと、銀座日動画廊で、茨城県笠間市主催による「陶炎祭(ひまつり)」のプレ・イベントが開催された。アンテナショップは、近年注目を集めており、利用されている方々も多いと聞く。二日間限定のこのイベントでは、笠間焼と石彫が出品さ…

寿福千年録

『千夜一夜物語』は、一夜のうちに遠くアラビアの国へと、連れて行ってくれた。学生時代の夏休みに徹夜を重ね、この長い長い物語を読み終えた記憶がある。空が白々と明るみはじめるころ、カナカナと蜩が鳴いた。もう遥か昔のことだ。残酷な王、空飛ぶ絨毯、…