知らないものはたくさんあるⅡ

拙宅にて 今の住まいを下見に訪れたのは昨年の5月半ばのことである。庭は管理が行き届き、アナベルを中心に白い花やカラーリーフのヴァリエーションが美しかったことを覚えている。 以前の家は床の間を備えた日本建築で、狭いながらも石組のある日本庭園であ…

知らないものはたくさんある

実家にて 「表玄関の花を見た?」と母がいう。「どれどれ!」と帰郷したばかりの重い腰を上げ見に行くと芍薬が生けてあった。「知らないうちに草の中で咲いていたの。手をかけなかったのに…けなげだと思わない?」愛読するブログで紹介されたエノモトチドリ…

ふらっと芸者

箱根にて 温泉好きの連れは五十肩にも効き目があるはずと、先月末に信濃大町、そして今月7日に箱根と、日を置かずに2つの温泉に足を向けた。コロナ禍で自粛していた弁当を久しぶりに携え、ロマンスカーに乗る。隣の食いしん坊の嬉しそうな顔を見ると作ってき…

茶友を招く

実家にて 5月5日午後1時半、ゴールデンウィーク恒例の茶花探索に、5人の茶友が訪れる。この日の朝、今年初めての日光キスゲが咲いたと母。黒ロウバイも開花。今年はエビネが元気だという。鎌倉の数寄者にいただいたイワタバコは、春の霜にあたり葉が黒く変…

初夏の庭でランチを!

実家にて 晴天の5月3日正午、妹夫婦と姪夫婦を実家に招いた。姪の夫君には田舎の一軒家ならではの楽しさを体験してもらおうと、庭でのランチを計画した。早朝にテーブルと椅子をセット 3種のオードブル オイルサーディンと新玉葱をクリームチーズに重ねて 玉…

ANAホリディ・インリゾート信濃大町くろよん

信濃大町にて 数年前まで毎夏、訪ねていた「くろよんロイヤルホテル」はリーガロイヤルホテルからANAホリディ・インの系列に変わり「ANAホリディ・インリゾート信濃大町くろよん」と改称し、2020年7月にリニューアルオープンした。コロナ禍もあり足を運べな…

厳島神社・錦帯橋の造形美

宮島、岩国にて4月22日金曜日、空路にて山口県岩国へと向かう。羽田空港9:05発の飛行機に乗り込んだのは妹夫婦と姪、そして岩国出身の姪の婚約者、私の5人である。彼の実家へ挨拶に伺うのが目的であるが、なかなか行くことのできない地方であり、せっかくだ…

春満つる

実家にて今年は実家の桜花を見逃してしまった。されど桜に劣らない花たちが次々と開花し、目を楽しませてくれる。キブシも満開であった。キクザキイチゲは盛りを過ぎて。 小さなイカリソウ、右は八重のアズマイチゲか。 バイモとイカリソウ、ヤグルマソウ そ…

筍と和牛肉巻き焼き

市ヶ谷 酒菜あい田にて連れが仕事仲間と訪れたという市ヶ谷の小料理屋をたずねる。先付は牡蠣の揚げ浸し、出汁は切昆布を具材にとろみを効かせたもの。私たちには油味が強かったが、次に頼んだサラダはさっぱりとして箸も進んだ。揚げシラスと玉葱の和風サラ…

生誕110年 香月泰男展

練馬区立美術館にて 「香月泰男展」の最終日(3月27日)が近づき、ようよう重い腰をあげた。混雑を嫌い開館を待って入館する。一番乗りは初めてであったか。連れはこの3月のアートフェア東京で、香月のある作品に興味を持ったが、購入するまでには至らなかっ…

箱根の桜

箱根にて たかが五十肩、されど痛みに眠れない夜が続く。10月初めに左膝が痛み出し、座して容易に立ちあがれなくなった。五十肩の治療に訪れた整体院では、左右の腰の高さが違っていると言われ、腰痛はこれが原因かもしれない。茶席や着物もお預け状態だが、…

春の庭を歩く

実家にて 庭歩きの楽しい季節が到来した。1月初旬に帰郷してから2ヶ月半が経過し、今や庭はすっかり春の装いである。見頃を過ぎた福寿草や梅に続き、サンシュユやミツマタが黄色の小さな花弁を開いた。サンシュユ ミツマタ アシビも満開となった。白のアシビ…

ミモザの花束

拙宅にて 春の花が次々と咲き出す時節となった。庭のミモザを剪定をしたからと、知人から花束が届く。サプライズの嬉しいプレゼントであった。黄色も鮮やかなミモザの花束は、室内の雰囲気を明るく変えてくれた。実家の庭ではミツマタが満開。桜は例年より早…

海老真蒸

銀座 竹葉亭にて3日木曜日の午後、3回目のワクチンを接種。今回はモデルナ製のワクチンとなった。五十肩を発症して以降、体調は万全ではなかったから不快感があっても副反応と認識出来ず、翌日は通常に勤務した。しかし尋常ではないだるさに襲われ1時間ほ…

『ふりむけば猫』井上洋介

読書の時間五十肩の症状のひとつは夜間痛であるそうだ。右肩と腕の痛みに浅い眠りから抜け出し、夜ごと本棚を漁る。昨夜に続き井上洋介の小さな絵本『ふりむけば猫』を手に取った。40に満たないページを何度もめくる。かどのしょくどうにねこがいてかさやさ…

胡麻味噌大根

拙宅にて行きつけの鰻屋、銀座竹葉亭の一品料理「胡麻味噌大根」。黒光りするほど濃厚な胡麻ダレを連れは大変に気に入った様子だ。我が家でも早速作ってみた。普段はすり胡麻を愛用しているが、今回は黒胡麻のペーストを購入。胡麻ペーストは出汁で伸ばしな…

道行コート

拙宅にて二十歳を迎える頃、大きな地紋の入った朱色の道行を仕立ててもらった。真新しいコートに袖を通した嬉しさは記憶に残っている。次の道行は大叔母の羽織を仕立て直したもの。先月の鎌倉行きにも身に着けたが、様々な色味が入り大方の着物に合わせやす…

色無地の同系色コーデ

拙宅にて腕が上がらない、腕を背中に回せない、和服を着たいのに帯が結べない…コロナ禍中、自由に動けないストレスを何としょう。こんな時は部屋の模様替をして気分転換をはかるのが一番と、絵を掛けかえたり、テーブルの配置を変えてみたり、衣類を畳み直し…

整体デビューを飾る!

箱根にて 右肩から腕にかけての痛みが続いている。腕を上げる、後ろに回す、そんな動きで激痛が走る。夜間、痛みに起こされることも度々。耐えきれず箱根に向かった。先週末のことである。ロマンスカーが箱根に近づくにつれ、雪が舞い始めた。連れは雪見風呂…

日乃出高坏菓子薹

実家にて 「日乃出高坏菓子薹」、正月には最適の器である。その名の通り台付で数センチほどの高さがある。丸い器を上から見れば、たなびく雲をも輝かせながら、今まさに顔を出した日乃出と見えよう。その昔の意匠に感服する。菓子は赤坂は塩野の「松の緑」。…

降雪

実家にて 1月30日、齢90を超える妹の恩師を招き、実家にて茶事をすることになった。(しかしコロナ感染者が日毎に増え、またしても先送りになりそうな気配。)少女時代から茶の教えを受け、今は足腰の弱くなった師を思い、妹は準備に余念がない。 一人用の卓を…

新年を祝うⅡ

鎌倉にて 例年、松の内に茶事を行う鎌倉の数寄者から、今年は客の都合がつかず見送りとなったと連絡が入った。izaatsuyoshi.hatenablog.com当方の水屋仕事はないが、例年茶事の後に伺う古美術店に行こうと誘いを受けた。ありがたいことである。三日午後四時…

新年を祝う

実家にて 一月二日、妹家族が年詞に訪れる。事前に人数を聞いていたが、家族五人もしくは妹夫婦二人とのこと。子どもたちが大きくなるに連れ、それぞれに付き合いもあり、近年は一人二人が後日に来ることも増えた。子どもたちの成長を実感する。しかし当日朝…

今年もいせ源

神田須田町 いせ源にて 師走恒例、アンコウ鍋の名店「いせ源」に赴く。10年前ほどは花街の匂いを残す大ベテランの仲居が多かったが、コロナ禍のせいもあるのか、今では大方が若手に変わっている。連れは、私に仲居を呼ばせては注文を重ねた。「まず瓶ビール…

一つ紋付き色無地

拙宅にて 師走後半の週末、家の整理、大掃除の時節である。先週、愛読するブログに大いに刺激を受け、和箪笥の整理を始めた。今年はニ度の引っ越しをし、書籍や洋服は断捨離を決行、和服は実家に送ったり、妹に譲ったりした。和箪笥には大分余裕が出来たが、…

目出度き日々

拙宅にて 洋館の和の住まい、のつもりで越してきたが、10月のはじめに膝を痛めて正座ができなくなった。ならば洋風暮らしを楽しむとしよう。手始めは和箪笥の上にクリスマスツリーを飾り…そして本棚の上にはリースを。時計の下の敷物は、ヨーロッパのどこぞ(…

茶友を招く Ⅱ

実家にて(紅葉狩り) 妹は、11月23日の11時半から12時の間に来ていただくよう、茶友に連絡を入れたという。昨日までの雨があがり、陽ざしが差し込み始めた頃、三々五々集い来る茶友たちには、紅葉の彩る庭で連客を待ちながら、まずは煎茶を楽しんでいただく趣…

茶友を招く Ⅰ

実家にて(11月の献立) 庭を紅葉が彩る晩秋の1日、妹が実家に親しい茶友を招いた。 この日のため、両親は庭の手入れを重ね、私は妹とともに昼食の献立を考えた。干柿やチーズを使った3種の先付けを提案すると、妹も日頃得意とする洋風料理を口にした。 それで…

動物の絵

府中市美術館にて ふた昔前にもなろうか、ジュネーブ歴史博物館で動物をテーマにした展覧会を見たことがあった。古代ヨーロッパのライオンのモザイク壁画が印象に残っている。 Musee d'art et d'historie Geneve "animaux d'art " du 30 mars au 24 septembr…

10月の花

拙宅にて 実家より、四種の椿を持ち帰る。 紅妙蓮寺・西王母・荒獅子「炉開きの頃に開く椿が今年はもう咲いているの、西王母も蕾がふくらんでいる。」と母が首をかしげる。「花数も多いね。椿の当たり年ではないかしら?」 「当たり年なら柿ね。Aさんの庭の…