レオナール・フジタとパリ 1913-1931

ゴールデンウィークは最終日を迎え、人々は日常へと帰り支度を始めている。5月6日、Uターンラッシュをよそに、静岡に向かった。静岡市美術館で「藤田嗣冶渡仏100年記念 レオナール・フジタとパリ」を鑑賞する。1913年、新妻を日本に残しフランスへと旅立っ…

辛口! ファイヤー!! バリ勝男クン。

昼過ぎに静波海岸を出て、一路、湯治に向かう。連れの膝には湯河原が良いのか、はたまた熱海の湯が効くのか・・・わからないままにこの日は湯河原に向かうことになった。静岡駅からはゆっくりとローカル線で移動だ。連れと二人、つまみとアルコールを買い込…

静波海岸 スイングビーチ

連れはいまだ膝の痛みが消えず、ゴルフも山行もままならない。そこで週末は海を見ながらゆっくりと過ごすことにした。静岡県の海沿いの町牧之原市。「東急ハーヴェストクラブ静波海岸 スィングビーチ」を予約したが、多忙な連れは片付けなくてはならない仕事…

ラ・フォンテーヌ

静岡県牧之原市相良、好きな町である。連れの所要に付き合って幾度目の訪問となるのだろう。連れと別れ、いつものように海岸までの道をたどる。路地沿いの家々の庭には砂地の小さな畑もあり、温暖な気候が野菜を育てていた。ほどなく潮の香りがして、海がす…

「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

雨は朝から、しとしとと降り続いている。旅先の静岡で、私に降って湧いた空白の3時間。過ごし方をカフェでぼんやりと考える。この天気では、神社仏閣巡りはままならないし、静岡県立美術館はアクセスが面倒だ。静岡市美術館は近くだが、開催中の「竹久夢二」…

ルキノ・ヴィスコンティ 『家族の肖像』

年末年始にイタリアを旅したという福島の友人Kから、半月遅れの誕生日プレゼントが届いた。愛娘とともにローマ、ポンペイ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ミラノを巡ったそうだ。 移動で忙しい旅にあって、あれやこれやと選んでくれたのだろう。フィレンツェ…

『誰か Somebody 』 宮部みゆき

2012年の最初の3連休は、静岡県牧之原市に旅することになった。例によって、相良のお気に入りの書店を訪ね、『誰か Somebody 』(宮部みゆき著/文春文庫)を購入する。昨年末にこの書店で手にした『名もなき毒』のシリーズ前作にあたるものだ。主人公は大財…

老人と貝殻

2012年1月8日朝、宿を出て相良(静岡県牧之原市)の海岸を歩く。浜辺には幾人もの釣り人たちが竿をかざしていた。私は東の空に上った太陽の波間の反映を楽しみながら、足元の石を拾った。ふと気が付くと、痩身の老人がこちらに手を差し出している。皺の多い…

『名もなき毒』宮部みゆき

12月23日、静岡県牧之原市相良町に赴く。相良は、暑さも盛りの7月に訪れた美しい海辺の町だ。 連れが所要を済ませる間、町の小さな本屋をのぞいた。客の姿のない店内も、女主人の穏やかな笑顔も以前と変わらない。私は昨夏の訪問をなぞるように一冊の本を購…

相良の海岸 二つの選択

静岡県牧之原市相良町に所要のある連れとともに、東京駅8時3分発のひかりに乗り込んだ。静岡駅から相良までは、バスで約1時間の道程である。連れが所要を済ませる間、町の小さな本屋をのぞいた。店主は高齢ながら愛想の良い女性で、何か1冊、買って帰りたい…

法師温泉から谷川岳へ

窓下を流れる法師川のせせらぎに目を覚ました。昨夜の雨で川の水量が増えたのかもしれない。水音が気になり、なかなか寝付けなかったという母を残して、父は私たちが起きるより前に《法師乃湯》に向かったらしい。わずかな清掃の時間をのぞいていつでも湯に…

法師温泉 長寿館

「家にある歴代の北関東の地図を見たらね、法師温泉にはぜーんぶの地図に赤い印が付いてるの…そう、私が付けたの、それだけ何年も思い続けていた!ってことなの!!」長寿館の予約が取れると、母は珍しく興奮して語ったものである。予約サイトで週末のたった…

3つの滝をめぐる

実家の両親、嫁いだ妹、姪の5人で旅に出ることになった。宿泊先は母が常々泊まってみたいと話していた法師温泉の一軒宿、長寿館である。1日目は、日光の竜頭の滝、湯滝を回り、そこから水上に向かう道中、沼田市の吹割の滝を経由し、法師温泉に向かう行程で…

成り行きまかせの贅沢

翌朝6時前、誰もいない露天風呂に入る。昨夜からの雨は小降りとなっていたが、肩をたたくしずくが肌寒さを感じさせた。露天を出て屋内に戻ると、2,3の人たちが朝風呂を楽しんでいた。ゆったりと湯船に浸かり昨日来の道程を振り返れば、こうして何もせず流れ…

苦手料理

午後7時半、吉兆での夕食、これだけは天候に関係なく予定通りだ。連れは古唐津と粉引双耳盃、ジョッキ代わりに織部松皮菱筒向を携えてきていた。入り口で馴染みのマネージャーと軽口を交わし、席に着いてすぐにビールを頼んだ。今回はいつものように山行後の…

あり得ない光景とは?

さてゴルフ場から引き上げた我々には夕食までの時間、温泉を楽しむしか術はないのだろうか。ホテル周りを散策するにも雨脚はまだ強い。部屋でくすぶっていた当方、ふと卓球場があったことを思い出した。「クアプールの上に卓球場があったよ」「去年は少しば…

天は許さじ!

この大型連休の我々の当初のスケジュールは、穂高の岳沢小屋まで雪上トレッキングを楽しみ、二日目は信濃大町に一泊し温泉にゆっくりと浸かる予定であった。しかし、岳沢小屋のHP上、4月27日付けの案内に次のような記事を見出した。 宿泊営業見合わせにつ…

松尾大社

京都最古の神社として知られる松尾大社。洛西総氏神とともに醸造祖神が祭られている。神輿庫の軒下には、全国の酒造家から奉献された酒樽が5段重ねにびっしりと並び、なかなか壮観であった。またこの神社には、昭和を代表する作庭家の一人、重森三玲の庭(昭…

大河内山荘

「あの庭はいい、大したもんだよ、大河内傳次郎って俳優は!」と、連れはしみじみと語ったものだ。以来、私の頭の中では小倉山の斜面にあるというその山荘のイメージがふくらみ続けた。ある日のこと、「京都に行くぞ!」と連れが言った。そうして向かったの…

東寺

4月2日、余震の続く関東から京都に旅立った。新幹線の車窓からは変わらず雄々しい富士が見える。映り往く景色…木々の芽木灯が春本番を予見する。早足の連れとともに、京都駅から東寺への道を黙々と歩く。立体曼荼羅に諸尊が配置された東寺の講堂。国宝指定の…

帰ってきた江戸絵画 ギッター・コレクション展 静岡県立美術館

2月11日雪のちらつく朝、静岡に所要があるという連れに同行し、東京駅から新幹線に乗り込んだ。積雪の恐れ、との天気予報であったが、「静岡はめったに雪は降らないさ!」と言うMの言葉どおり、熱海を通過する頃には雪は雨にかわっていた。連れとは午後3時…

湯河原探訪

晩秋の1日、湯河原を訪ねた。紅葉も見ごろを過ぎて、赤や黄色の落葉が路傍を染めている。湯河原には「2.26事件」の折に襲撃を受けた伊藤屋旅館元別館光風荘があり、東京以外で唯一現場になった場所として知られている。この建物の撤去計画に際し、町の有志た…

富士待ち(伊豆の旅2)

さて翌朝10時、土肥から修善寺経由のバスに乗り、三島へと向かう。連れは午後には仕事にもどらねばならず、三島から新幹線で帰京することにしたのだ。昨夜は激しい雨が屋根を叩いたが、今日はうって変わってよい天気である。バスは小高い山々を縫い、時折ト…

土肥温泉(伊豆の旅1)

「西伊豆の土肥だ、打ち合わせに行く。仕事はすぐに片付くさ、フェリーに乗るんだ、温泉だぞ!」 連れの誘いに、駿河湾から断崖の紅葉を見たくなり、同行することにしたのだった。23日の朝、東京を出て熱海で乗り換え、沼津から高速船で土肥まで向かう。連れ…

駅弁、しのぎをけずる!

東京、信濃大町間を走る特急あずさは本数が少なく、大方は松本まで大糸線を乗り継がなければならない。しかし、ゴトゴトと小さな車両に揺られながら、ビールを片手にゆったりとした時間を過ごすのも、旅の一興である。8月9日、温泉でリフレッシュし爽やかな…

湯河原再訪(男語りき)

こうジメジメうっとおーしくては、やはり温泉で汗を流すが一番。本日(7/10)は例の偶数日ってことで、極上のお湯に浸るべく、いそいそと湯河原に向かったものだ。さて、だだっぴろい休憩室の窓際の席にて、連れとは一時間後に待ち合わせということに。粒子…

湯河原再訪

「湯河原の湯は良かったね、とろっとしててさ、また行きたいな」 「そうそう、肌もつるつるになった」 「でも肝心の風呂場が閉塞的で残念だな」 「えっ? 山が見えたよ。高山ばかり登っている人は、低山の連なりが閉塞的に感じてしまうのかな・・・」 「ヤマ? …

雨を観る 山を観る

久しぶりに鎌倉の料理屋「まき」に足を運んだ。お通しは枝豆と鰊の甘露煮。鰊はどうも好きになれず、甘露煮も苦手である。これは連れも同様だが、残してはまきさんに申し訳ないと、連れの分まで飲み込んだ。しかし枝豆の塩加減は絶妙。鰹を頼む。ふた月ほど…

美味い店 季節料理 まき

金曜の夕刻、横須賀線で向かうは、鎌倉の料理屋「まき」。久しぶりで味わう「まき」の料理に、日中からいそいそとしたものだ。のれんをくぐれば、主人の笑顔が迎えてくれた。 一足先に到着した連れはカウンターの中ほどに陣取り、早やビールを開けている。突…

秋を歩く

例年、9月の連休は北アルプスを歩いている。今年は2年ぶりに鹿島槍に登るはずだった。高山はすっかり秋の装いに包まれていることだろう。海外に旅発つことになった私に、一人で山に入るかもしれないと言っていた連れは、結局、この連休を仕事に費やした。さ…